ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
06-05号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢も含む）（2024.5）」
5月、米国を始めNATO諸国等からウクライナに対し兵器等を含む大規模な支援が再開されました。ロシアはこれらの支援兵器等が前線に到着する前に支配地域を拡大しようとして、特に脆弱な前線、北東部ハルキウにおいて一気に攻勢を強めたものとみられます。ロシア側によりますと、中旬には計12の集落を制圧し、月末には計28の集落を制圧したとしています。また、ウクライナ各地に対して弾道ミサイル等の攻撃も行われました。他方で、ウクライナ軍は、ハルキウ州で5月下旬に「目に見える戦果」を挙げたと主張するとともに、ATACMSやドローンによって、ロシア本土やクリミアのロシア空軍基地を攻撃して航空機や建物を破壊、又、クリミア南西部のセバストポリでは黒海艦隊のミサイル艦を破壊するなどの戦果を挙げたようです。
令和5年7月のG7首脳宣言に基づくウクライナとの二国間協定については、5月31日にスウェーデン、アイスランド、ノルウェーとも締結し、計15カ国となりました。ロシア本土に対するウクライナの攻撃については、武器支援をしている国々が一部容認するという進展がありました。フランス、英国、バルト諸国、デンマーク、米国等がこれを容認するという報道がありました。EUも武器供与国の判断によるとこれを追認したようです。また、NATO事務総長は、ウクライナに供与した兵器の使用についてはその制限の一部を見直す時が来たと述べています。これに対し、ロシアは、西側兵器によるロシア領攻撃は戦術核の使用を含む世界戦争への拡大の可能性があると威嚇しています。
イスラエル・ハマスの停戦交渉には成果がみられません。ガザ地区等へのイスラエルによる攻撃に対して人道支援の観点から米国や国連を含む国際社会は強く批判を繰り返しています。
南シナ海においては、中国が引き続きフィリピンへの威圧を強めているのに対して、フィリピンはこれに反発して、中国がフィリピンの排他的経済水域（ＥＥＺ）内のサビナ礁で埋立て工事を行っていると主張しています。さらに、中国は台湾を取り囲む形で２日間に亘る演習を行いました。
日本は、フィリピンとの間の円滑化協定の早期締結について大臣間で合意しました。また、自衛隊の作戦指揮を一元的に行うために統合作戦司令官や総合作戦司令部を設置することとしました。英国、イタリアとの次期戦闘機の共同開発に向け、企業との契約や輸出管理を担う政府間機関設立のための条約案が策定されました。米国との間では、露中鮮の極超音速ミサイル迎撃のための新型ミサイル共同開発に関する取決めが締結されました。横須賀で停泊中の新型護衛艦が不法侵入したドローンによって空撮されるという事態が発生し、改めて早急かつ有効なドローン対策の必要性を認識させられました。
ご参考のため、配布致します。
令和6年6月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により同事務局
以下、会報『06-05号』（会員等に限定配布）のとおり。