ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
06-06号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢も含む）（2024.6）」
米国やドイツ等の兵器支援国は、ウクライナによる支援兵器でのロシア本土攻撃を制限して来ましたが、6月17日、最大の支援国である米国が、これまで容認してきたウクライナによるロシア領内の攻撃対象地域を、ウクライナ北東部ハルキウ国境付近から、ロシア軍が侵攻を試みているすべての場所に拡大することを容認する旨公表しました。ウクライナ軍は、HIMARSによるロケット弾攻撃を皮切りに、ATACMSや無人機を使用し、クリミアの防空システムやロシア本土の最新鋭戦闘機Su57の破壊、更には、北東部ハルキウ方面ボウチャンシクではロシア精鋭空挺旅団を壊滅させ、また、ロシアの製油所など30カ所超の攻撃を行った模様です。一方で、ロシア軍は期間中、ロケット弾や無人機によりウクライナの西部や南部の発電施設に対する複合攻撃を行うとともに、キーウやハリコフを始めとする多くの都市に対しても同様の攻撃を行いウクライナに大きな被害を与えた模様です。
ロシアは、深刻な兵士不足に直面しており、1万人の移民を「強制派兵」する事態にまで及んでいます。ダゲスタン共和国でも銃撃がありました。また、フィンランドやスウェーデンに対する領空侵犯、ウクライナに対しては「最後通告」としてNATO加盟の撤回、非武装、4州割譲等の要求を行いました。プーチン大統領は、北朝鮮およびベトナムを訪問するなど活発な外交攻勢を展開しました。
ウクライナでは、大統領の支持率がロシアの侵攻以降で60%を下回る最低水準となっています。また、政府関係職員の汚職が深刻な問題として捉えられています。
ウクライナ復興会議においては、インフラなど2.7兆円の支援案件で合意が形成され、IMF理事会も融資を承認する等、ウクライナへの支援は継続されています。
他方で、ガザ地区での新停戦案の履行を要求する決議が国連安保理でなされましたが、ヒズボラ・イスラエル間では連日大規模攻撃が続いています。
また、アジア安全保障会議では中国の覇権的な行動について議論はされましたが、台湾や南シナ海、ウクライナ情勢等では対立が鮮明化しました。南シナ海では、中国とフィリピンの対立が激化しており、アユンギン礁でフィリピン海軍の補給船と中国船が衝突した事件でフィリピン人7人が負傷しました。
韓国では、国民の66％が核保有に賛成しており、在韓米軍駐留以上に核保有を重視しています。
岸田首相は、ゼレンスキー大統領と１年ぶりで会談を行い、長期的な支援を実現するため、復旧、復興にむけた経済支援策などを明記した協力文書に署名しました。吉田統幕長は、読売新聞のインタビューに応じて「我が国周辺でもウクライナ同様の事態が起きる可能性は否定できない」と述べました。
令和6年7月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により、同事務局
以下、会報『06-06号』（会員等に限定配布）のとおり。