ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
05-17号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢も含む）（2024.2）」
ロシアのウクライナ侵攻開始から2月で2年が経過しました。ウクライナは、弾薬供給不足のため、特に東部戦線では苦戦を強いられています。アウディ―イウカ西方では最強戦車M-1を投入し懸命の防衛戦を展開するも、「戦略的判断」による撤退（ゼレンスキー大統領）を余儀なくされ、ロシア軍はアウディ―イウカを完全制圧した模様です。地上戦闘においては、他の地域も含め戦局は膠着状態にあるようです。他方、ウクライナ無人艦艇によるロシア軍の黒海艦隊艦艇「イワノヴェッツ」等の撃沈、スホーイSu-34戦闘爆撃機やSu-35戦闘機、計9機、ベリエフA-50早期警戒管制機1機の記録的な撃墜など、ロシアの海上および航空の戦力に対し大きな損耗を与えています。
一方、ロシア国内においては、プーチン大統領が、対抗馬となり得る人物を選挙戦から排除し、ナワリヌイ氏の死去？もあり、また、兵士の帰還要求やウクライナ侵攻批判等の抗議集会、ナワリヌイ氏の追悼等の参列等を効果的に弾圧し、大統領選挙戦での勝利を盤石なものにしているようです。また、ウクライナにおいては、司令官の交代等で２年前の大きな結束にほころびが見えたものの、「攻勢」から「防衛」へ作戦の切り替え等を行う一方、新たな反転攻勢の準備を進める等、国民を鼓舞し、多くの国民の打倒ロシアへの意識は高いようです。
ウクライナに対する欧米諸国の支援は、米国が下院での調整の行き詰まり等により滞っている中、EU、IMFが資金面の支援を確保し、NATO諸国によるドローン100万機の提供やスウェーデンも砲弾や攻撃艇を含む新たな軍事援助を打ち出したことや、ウクライナの安全を２国間協定で長期的に保証するという安保協定には、加、伊、独、仏、デンマーク、英が締結し、オランダも3月に締結が予定されているとの明るいニュースもありました。ウクライナ侵攻開始から2年が経過しましたが、国連においては新たな決議はなく熱気を欠きました。ミュンヘン会議では、ゼレンスキー大統領は武器支援継続を訴え、G7首脳会議においては共同声明でウクライナへのゆるぎない支援を約束し、ロシアには無条件撤退を要求しました。また、2月26日のスウェーデンのNATO加盟により、欧州の安全保障は新たな局面を迎えました。
ガザ地区での戦闘は、特にラファ侵攻は破滅的であり、豪加ニュージーランドがイスラエルに停戦を求めるような事態となっています。紅海においてイエメンのフーシ派が英商戦に攻撃を加えたことの報復としてフーシ派の拠点への3回目の攻撃を行っています。
台湾当局に追われた中国漁船が転覆、漁師2人が死亡する等の事案も起きています。中国を念頭に「ウクライナは明日の東アジア」と発言された岸田首相の言葉を現実化させないためのあらゆる努力を惜しんではならないと思う次第であります。
令和6年３月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により、同事務局
以下、会報『05-17号』（会員等に限定配布）のとおり。