ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
05-15号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢も含む）（2023.12）」
12月、ロシア軍は、特にアウジーイウカやバフムト等の東部戦線要衝に対する攻撃、並びにドニプロ川の橋頭保に対するロシア空艇師団による攻撃では人的損害を顧みない人海戦術による戦闘を展開し、甚大な損害を被りながらも戦場の多くで主導権を握るような戦いぶりを展開しました。東部戦線の要衝の一つ、マリンカではウクライナ軍は事実上の撤退を余儀なくされ、更に、年末にはウクライナの首都および各主要都市部に対して、ウクライナ侵攻開始以来、最大規模となる攻撃がありました。他方、ウクライナ軍は、シベリアでの列車爆破、スホイ戦闘爆撃機の撃墜、クリミアでのロシア軍揚陸艦「ノボチェルカッスク」の撃沈、ロシア西部のペルコロドへの爆撃等の戦果を挙げています。また、ウクライナが攻撃・奪取したクリミアの橋頭保付近を死守しているようです。
米国の情報によると、侵攻開始以降、ロシア側は兵士31万5000人が死亡もしくは負傷し、数千両の戦車と歩兵戦闘車を失ったとされています。プーチン大統領は、2024年3月15〜17日に実施される大統領選への出馬を表明しています。自らの当選を図るためには、ナワリヌイ氏等の有力な候補者の隔離や登録阻止を行うとともに、この特別軍事作戦を成功裏に終結させる必要があり、このタイミングでロシア軍によるウクライナ東・南4州の占領維持を条件に停戦を持ち掛け揺さぶりをかけているようです。ウクライナでは、約半数の44%の人が、戦争終結のためには妥協が必要と考えている一方、48％はロシアに占領された領土を解放するまで戦争を継続することを支持しています。
ウクライナに対する西側民主主義国等からの支援が全般的に低下しています。米国はウクライナ支援への予算確保に苦しんでいます。欧州の一部の国では物価高など目の前の生活苦に伴い内向き志向が強まっていたり、また、「自国第一」を掲げるポピュリズム政党が不満の受け皿となり求心力を高めたりする中、支援継続への国民の理解をつなぎ留める必要に迫られています。ウクライナ支援については、G7、IMFやドイツ、北欧５カ国等は引き続きウクライナへの支援を継続しており、また、オランダ、デンマーク、ノルウェー等からのF-16戦闘機の供与も期待されています。
スウェーデンのNATO加盟をトルコ議会が承認しました。ウクライナへのEUの支援も含め、ハンガリー議会の動向を残すのみとなりました。NATOは、軍事予算を12％増、また、フィンランドは31番目の加盟国となり、スウェーデンの加盟が実現すると、ロシアに対する備えは更に優位となる状況にあります。
本会報では関連する中東情勢も含めました。
ご参考のため配布します。
令和6年1月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により、同事務局
以下、会報『05-15号』（会員等に限定配布）のとおり。