ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
05-09号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（2023.8）」
6月に開始されたウクライナの反転攻勢の速度が遅いことに対して西側諸国の一部では疑問を呈するところもありましたが、８月後半に入り、ウクライナ軍の南部での前進、クリミアまでロシア軍を押し戻す可能性を感じさせるような成果が出始めております。ウクライナの旧ソヴィエト連邦からの独立記念日の8月24日、この日は丁度ロシアのウクライナ侵攻開始から1年半に当たる日でもありましたが、ウクライナは、2014年にロシアから不法に併合されたクリミア半島に部隊を一時的に上陸させ、また、南部ザポリージャ州で南下を図る「ザポリージャ戦線」上の集落ロボティネを完全に奪還したと発表しています。ロシア国内等への攻撃も、オーストラリア製の段ボールを使用した安価なドローンも使用し、爆撃機、戦闘機、最新迎撃システムを破壊する等の成果を収めています。
他方、ロシアは、ウクライナ東部で兵力の再編成を行い、東部戦線に対して新たな攻勢を行うための準備も実施しているようです。ロシア国内においては反政府勢力による活動も散発的に発生していますが、プリコジン氏の自家用機の墜落によるプリコジン氏を含むワグネル主要幹部の死亡、元空軍司令官等の更迭、ナワリヌイ氏に対する事実上の「終身刑」、選挙監視団体トップの拘束等、弾圧強化を行っており、これまでのところでは抑え込みが奏功している状況のようです。
NATOは、ウクライナのNATO加盟条件として「ロシアによる占領地の放棄」をとの議論や、NATO事務総長の「和平交渉の条件がいつ整うかはウクライナ次第」等の発言等から、西側陣営ではウクライナに対する支援疲れもあるように見えますが、ウクライナは領土を回復するまでは決して停戦しないと思われます。また、プーチン大統領も大きな戦果を得ることなく決して引き下がれない状況でありますので、長期戦は避けられないものと予測されます。
ご参考のため配布します。
令和5年9月
幹事長兼事務局長 長島 昭久 衆議院議員の命により
日米欧総合安全保障議員協議会事務局
以下、会報『05-09号』（会員等に限定配布）のとおり。