ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
06-09号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢等も含む）（2024.8）」
8月に入り、ウクライナ情勢は新たな局面を迎えたようです。ウクライナはロシアの空軍基地、高層マンション、石油施設等をドローンやミサイルで攻撃する一方、6日には、秘密裏に準備を進めてきたロシアのクルクス州に対する越境攻撃を断行しました。ゼレンスキー大統領は、27日の記者会見で100の集落を含む1294平方キロメートル以上を制圧したほか、594人のロシア兵を捕虜にしたと明らかにしました。また、越境攻撃を続ける意向を示し、欧米が供与した武器によるロシア領内への攻撃を認めるよう支援国に求めるとともに、国産の弾道ミサイルの発射実験にも成功しているようです。8月4日には、西側から供与されたF-16 6〜10機が実戦配備され、航空戦力も新たな段階を迎えました。しかし、その機数もパイロット数も全く不十分なままであります。その状況下で既に貴重な1機が戦闘中に墜落した模様です。ロシアは、第２次大戦後初とも言われるロシア領の喪失に大きな衝撃を受けており、プーチン大統領は奪還を厳命しています。ロシアは、クルスク州奪還のためには本土から僅かな部隊を割いたのみでありながら、一方で、ウクライナの首都キーウをはじめ、北東部ハルキウ等に大規模な攻撃を継続するとともに、東部では要衝ポクロウシクに接近するなど、攻勢を強めているとみられています。
24日は、ウクライナの独立記念日であり、また、ロシアの侵攻開始から２年半の節目でもありました。米国は、大規模な対ロ追加制裁を発表し、また、防空ミサイル、対ドローン装備、対装甲ミサイル、弾薬などを含む1.25億ドルの新たな軍事支援を発表し、バイデン大統領は「ウクライナへの揺るぎない支援」を改めて表明しました。
中東では、イラクによるアメリカ軍基地へのロケット弾攻撃がありました。また、イスラエル軍はパレスチナ自治政府の主流派ファタハ幹部をレバノン南部で殺害しました。ガザの停戦交渉も行われつつありますが、ヒズボラ・イスラエル間でも連日戦闘が繰り返されています。
南シナ海サビナ礁では、中比の船舶が衝突を繰り返しています。また、先月、岸田首相は、中国を念頭に「東・南シナ海での力による現状変更は認められない」とNATO首脳会議で演説しましたが、中国は、長崎県において26日に領空を侵犯し、その５日後の31日に今度は中国の艦艇が鹿児島県沖で領海を侵犯しています。「いかなる国の領空を侵犯する意図もない」との声明だけでは済まされない大問題であり、そこには中国の意図が見え隠れします。摩擦を恐れず毅然とした対応を行い、少なくとも中国政府の謝罪や関係者の処分の開示が最低限必要であろうと思われます。
ご参考のため、配布いたします。
なお、会員の皆様には、ロシアのウクライナ侵攻開始から、2年半にわたり、本ウクライナ関連ニュースをご愛読頂きました。誠に恐縮ではございますが、本号発刊以降、休刊とさせていただきます。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
令和6年8月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により、同事務局
以下、会報『06-09号』（会員等に限定配布）のとおり。