ＤＭＣＣＳ
日米欧総合安全保障議員協議会 NATO Parliamentary Assembly
06-08号
会報 |
「ウクライナ関連ニュース（中東情勢等も含む）（2024.7）」
７月、ロシアは、大規模攻勢に必要な弾薬が不足している中、また、兵士不足も深刻な状況下で無謀な作戦を展開し、ウクライナ東部の一部を占領したものの多数の兵士や装備を失いました。ウクライナ軍はこのようなロシア軍に対し、飛来するミサイル等の大量撃破、大砲等の破壊を大幅に増加させる等、効果的な作戦を行っているようです。さらに、ウクライナは、HIMARSによるロケット弾攻撃やATACMSや無人機を使用したロシア本土への攻撃を行い、月末にはロシア軍の大規模武器庫をほぼ壊滅させ、また、1800ｋｍ離れたロシア北西部の爆撃機根拠基地への攻撃も行ったようです。
ロシアは、ウクライナ侵攻後65万人以上のロシア人が出国したまま帰国していない模様であり、志願兵に多額の一時金を提示し、膨大な兵士の損耗を埋めようと躍起になっており、弾薬不足も国外調達に大きく依存しているようです。さらに、海上戦力の大きな損耗のため、アゾフ海からすべての艦艇を撤退させた模様です。他方、ウクライナにおいても、兵力損耗や徴兵逃れのために女性兵士の倍増や徴兵年齢引下げを余儀なくされています。また、3分の1のウクライナ人は、「一部の領土をあきらめる準備がある」とし、「領土譲歩に反対」は55％に低下しており、ゼレンスキー大統領は「領土放棄は最善ではないが国民が望めば可能」としています。
インド太平洋とウクライナを議題としたNATO首脳会議（ワシントン）が行われ、ウクライナのNATO加盟は「不可逆的な道」としウクライナのNATO加盟実現に向けた決意が表明されました。また、7兆円規模のウクライナ支援が継続の見通しとなりました。チェコ企業の協力を得てウクライナに弾薬工場を建設する運びとなり、更には、F16戦闘機6機が供与決定から1年弱をかけてウクライナに到着しましたが、兵力増強の効果としては、現段階では象徴的かつ限定的と見られています。
ガザ地区では、イスラエルが学校を攻撃、また、ゴラン高原にロケット攻撃が行われ子どもら12人が死亡しました。ヒズボラ・イスラエル間でも連日大規模攻撃が続いています。ハマス指導者のハニヤ氏がイランで殺害され、ハマスは声明で「シオニストが襲撃した」と述べています。
中国は、13日、中台中間線を越えて空母「山東」および航空機36機などを含めた合同訓練を行い、頼清徳政権へ軍事的威圧をかけています。また、北朝鮮経済はロシアへの弾薬供給により急回復している模様です。南シナ海では、中国とフィリピンの対立が継続しています。
日本はウクライナに大型地雷除去機４台の供与等を行いました。また、岸田首相は、中国を念頭に「東・南シナ海での力による現状変更は認められない」とNATO首脳会議で演説しました。
ご参考のため、配布いたします。
令和6年8月
日米欧総合安全保障議員協議会
幹事長兼事務局長 長島昭久 衆議院議員の命により、同事務局
以下、会報『06-08号』（会員等に限定配布）のとおり。